コラム

お父さんのためのオペラ実践講座 - その2 なんで合唱なのか

前回で素人がオペラに関わる一番手っ取り早い方法はオペラの合唱団に参加することだと申し上げました。

その訳をご説明しましょう。

オペラを上演するためにはかなりの人数の方達を集めなくてはなりません。
ソリスト、合唱団、オーケストラ、演出家、衣裳、美術。舞台監督、音楽スタッフ、上演するオペラによりますがバレエ団、そして制作など数え上げればきりがありません。

そしてかかる費用も膨大になることはどなたでも予想できるかと思います。
舞台に立つ方達すべてプロを使うことはまずどこかの助成金が無ければまず不可能でしょう。

そこでアマチュアの方達の出番になります。
作品によってはないものもございますがほとんどのオペラには合唱は不可欠なものです。
特に規模の大きいグランドオペラでは100人近くの人数を揃えなくてはなりません。

制作といたしましては頭の痛いところですがそこでアマチュアの方を公募し参加費を徴収して合唱団を構成することはどこの団体でもやっております。
これですと制作は予算的にかなり助かります。ギャラが発生するといたしましてもプロよりは安くて済みます。
要するにやる気のあるアマチュアの方なら大歓迎なのです。

それと公募ですから基本的に年齢は問わないと団体が多いです。
これですと様々な年齢の方が参集してリアルな老若男女のいる群衆が出来ます。
日本のプロ団体の合唱団はプロの若い方達が中心になります。これですと声はよく出ますが舞台の見え方が嘘で味気ないものになります。
いくらメイクで老けさせてもそれはおのずと限界がありますし仕種はどうしようもありません。

日本のプロオペラが今一つおもしろくない要因の一つがここになります。
これはアマチュアを起用する大きなメリットと言えるでしょう。

逆にデメリットといたしまして音楽スタッフは一から曲を根気よく教え込まなくてはならずその上暗譜させるという苦労があります。稽古期間は長くとらないといけません。
プロと違い稽古の集まり具合が読めませんし歌える方、歌えない方、個性の強い方、妙に自信のある方など様々な方で構成される集団を合唱指導者はまとめなくてはなりません。
彼らをいかにやる気にさせるかは指導者の資質が問われるところです。

さて誤解して欲しくないことが一つあります。
オペラの合唱が素人でもできるほど簡単と思うことです。これは絶対に違います。

欧米の一流劇場の公演を映像や実際に客席でご覧になった方は多くいらっしゃると思います。その際に合唱団の歌、演技の上手さに感嘆したことはないでしょうか?
ウィーン、MET、スカラ、ベルリン、コヴェントガーデンどこの合唱団も上手いものです。
彼らは立派なプロです。

例えばレパートリーシステムを導入しているウィーンでは看板はルチア、明日の晩はフィデリオ、明後日は運命の力、週末はマチネでタンホイザー、来週は売られた花嫁のプレミエという過密スケジュールを稽古も含めてこなします。

多少のローテーションはあるでしょうがほとんど同じメンバーでやります。

また舞台稽古不足ソリストに本番中にそれとなく舞台上で動きを教えているのも彼らです。
要するにオペラの合唱は奥深いプロの世界なのです。

しかし臆することはありません。
真面目にしっかりやれば少しでも彼らの領域に近づくことが出来るでしょう。

それからオペラの合唱では男声合唱が意外と多いものです。
これは兵士や修道士、船員などが出ることが多いからです。
従いましてお父さんはどこでも歓迎されるでしょう。

(続く)

 

 

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