2冊目も青春物語です。これは現代のお話です。
小麦畑できみが歌えば 関かおる 角川書店

若い人の成長物語にしたほうが声楽、オペラのテーマは描きやすいのかもしれません。
筋は北海道の小麦農家に育った主人公の娘は正規の音楽教育は受けていませんが感受性が豊かで歌に特別な才能を持っています。祖母がアメリカ人という血筋です。
地元のオペラ団体の合唱団のオーディションを受け結果は落選でしたが審査員の声楽家に歌の本質を掴む不思議な才能を認められアメリカのオペラ劇場の夏季セミナーのオーディションを受けるように勧められて推薦してくれます。
オーディションの会場で芸大に入りエリートコースを歩んでいる高校時代の親友と再会します。
そして首尾よく二人ともパスしてアメリカに赴きます。
アメリカのオペラカンパニーは数多くありますがこの小説では架空の場所です。
ただ架空とは申しましてもアメリカは元より世界中から個性的な歌手志望の若者が集まり寮に缶詰めで課題ごとにオーディションがあり振るいにかけられる厳しさはリアルです。
本場の外国に留学したり、セミナー、オーディションを受けたいと考えている人には多少参考になるかもしれません。
一次の課題は出来たばかりの新曲を期日内に仕上げて作曲者のピアノ伴奏で歌うというものです。二次の課題は何人かの受講生と組んで与えられたオペラの一場面を演じるというものでした。主人公は一次はパスしたものの二次には落ちてしまいます。
正規の音楽教師を受けていない人が幸運でアメリカのオペラカンパニーのセミナーを受けるというのは所詮お伽噺に過ぎません。
主人公の娘は祖母がアメリカ人ですので英語には苦労はしなかったのでしょう。
これは大きなアドヴァンテージですが、譜読みやオペラの役作りなどかなり苦しんだのではないでしょうか。
ただ考ええさせられたのは譜読みをしてそれなりに歌うという行為はスタートラインに過ぎずそれ以上の自分の解釈を求められるということです。
深く掘り下げる作業です。
今の若い人はそれが出来ているでしょうか?
折に触れ若い人たちの歌を聴く機会はありますが一様に皆さんいい声で巧いです。
惜しいことにそれだけなんですね。あまり考えていないのではないかと思うことがあります。
つまらないんです。
案外独創的な解釈、発想というのは音楽大学の外にあるのかもしれません。
自分のやろうとしている音楽は何なのか?
それは音楽家が生涯をかけて追求するテーマです。聴衆に何を伝えたいのかそれを分からせて欲しく思います。
結局オペラカンパニーの最終オーディションにはエリートコースを歩む親友が残り研修生のオファーを受け主人公の娘は小麦農家に帰ります。
多分プロにはならないのでしょう。そんなものかもしれません。
(3冊目に続く)












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