コラム

オペラファンの生態学 その一

この駄文をお読みいただいている方はほとんどの方がオペラファンでいらっしゃることでしょう。

もちろん私も大好きです。オペラとは長い付き合いで中学から親しんでまいりました。
だからこそこの仕事をさせていただいております。
お陰様で店やオペラの現場でファンの方々と接する機会が増えてまいりました。

様々な方達とお話しする中でオペラファンと一口に申しましてもいろんなパターンがあることに気が付きました。
今回は大雑把ではございますがそれをまとめてみたいと思います。

大きく分けましてタイプは実践派と鑑賞派に分かれます。

実践派
  1. ① 実際にオペラの舞台に出演して楽しむ方
    アマチュアですと合唱で出演される方が多いのですがソリストとして活躍されている方もいらっしゃいます。
    首都圏であればオペラの公演数は質を問わなければ大小かなりの数があります。
    合唱団はどの団体でも歓迎されますので複数のオペラを掛け持ちされていてかなり忙しいです。
  2. ② 発声を探求されている方
    特にテノールの方に多く見受けられます。
    先生についていい声でアリア、歌曲を歌うことを追求します。
    古今の名歌手のアリア集の音源を収集、愛聴したり発声法の書籍を読んだり研究に余念がありません。
    門下の発表会には参加しますが意外とオペラに出演することはあまり興味がありません。
鑑賞派
  1. ① オペラ公演、歌手のリサイタルに通う方
    これには二通りあります。国内派と海外派です。いずれも経済力がないと不可能です。
    国内派の方は主に国内で話題の公演はほとんどご覧になります。新国も常連です。
    外来のオペラ団、有名歌手のリサイタルも欠かしません。

    海外派の方は休みがまとまって取れるとoperabaseなどのサイトで欧米のオペラ劇場の予定を調べて躊躇なく航空券を買ってしまう方です。
    特定の歌手の追っかけもこの方達には多いです。


    そして国内派、海外派ともある一定のレヴェル以下の公演は見向きもしません。
    義理でもなければ滅多にインディーズ系のオペラは行きません。
  2. ② 書斎で楽しむ方
    この方達はオペラ公演に行くことはさほど興味がありません。コンサートはむしろオーケストラやピアノ、室内楽に興味があります。
    もっぱら書斎でオペラはCD,DVDで楽しみます。書籍もよく読んでいます。
    まあインテリさんです。

    どちらかと申しますと作曲家や作品、指揮者に興味があり歌手にはさほど興味がありません。
    ご自分の得意な分野例えばヴァーグナーについてなど学者のように博学です。

ざっと見てこんな感じでしょうか。
どのタイプも一長一短ありどれがベストとは申せません。
皆さんご自分のやり方でオペラをエンジョイされています。それは素晴らしいことです。
ただこうすればもっと楽しくなるのにと正直思うこともあります。

オペラバフのポリシーはオペラの見巧者、いわゆる洗練されたファンを増やすことです。
その見地から次回は各タイプ別にご提案をしたいと思います。

(続く)

 

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