【その1】
手前共オペラバフの魔笛には蛇は出ません。
ご存じの通り、冒頭タミーノが大蛇に追われるところからオペラが始まります。
蛇は冥界の守り神と言われています。多分凄く恐ろしいのでしょう。
ただ私が見聞した範囲の魔笛の上演では笑いを誘うようなせこいヘビしか見たことがありません。
冒頭から笑いを取っちゃうのは制作側としては忍び難いものがあります。
※タミーノ 濱田翔
そこでオペラバフでは大胆な解釈を試みました。
タミーノが日本の王子という古来の設定に甘えてこのキャラクターを幕末の戊辰戦争時の幕軍の旗本の子弟といたしました。
そしてそれを追う大蛇を官軍の薩摩の軍兵といたしました。会津戦争の際に母成峠という地で戦があり幕軍の伝習隊と官軍の薩摩軍が戦った史実があります。
伝習隊は敗れ磐梯山系の山野を逃げ惑いました。
不慣れな東北の地で暗い山中を友軍と離れ一人で逃げる江戸育ちの青年にとりましてはそれを追う薩摩の兵は大蛇のように恐ろしかったのではないでしょうか。
オペラバフの魔笛はこの江戸の旗本、田宮太郎信成が山中で行方不明となり異次元世界にワープするところから始まります。
古来、日本によくある貴種流離譚の一種とお考えいただければと思います。
シカネーダー、モーツァルトはこの解釈に微笑みますか、それとも怒り狂いますか。
どうでしょう?
【その2】
言い訳をもう一つ。
今回の手前共の魔笛の上演は字幕は出ませんしプログラムにあらすじ等を載せません。
不親切ではないかとのご意見もお有りでしょうが、あえてそういたしました。
理由といたしましてまず字幕ですがこれがオペラ公演に採用されましたのは40年くらい前でしょうか、画期的でございました。
その恩恵に私自身も浴しました。
ただ私の経験上これがありますと無意識に視線をそちらに移してしまいがちで舞台に集中できないことがございます。それであえて出さないことにしました。
台詞は日本語でございますのでお話の筋は分かるかと思います。対訳本も出ておりますので予めお読みいただきたくお願いいたします。より良くご鑑賞いただけるかと思います。
あらすじでございますが魔笛は名作中の名作です。お調べになればすぐ知ることが出来ますのでいいだろうとの判断です。オペラバフのホームページにも一様載せておきますのでご覧ください。
生意気申しました。意図をご理解いただきご容赦くださいますよう偏にお願いいたします。
オペラバフ制作
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