酷暑が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
オペラバフは9月16日、17日のナクソス島のアリアドネの公演に向けて連日厳しい稽古が続いています。
けして一筋縄ではいかないR・シュトラウスのオペラにキャスト、スタッフ一同で向き合う毎日でございます。
特に序幕はすべて音楽が芝居のタイミングを規定しております。
よくオペラは芝居と異なり音楽が常に流れておりますのでそれにのり歌う方向性さえ間違えなければほぼうまくいくと言われております。
ただこのナクソス島のアリアドネは音楽が動きを規定しております。
要するに型のようなものがあるのです。
例えばノックの擬音をR・シュトラウスはスコアに書き込んでおりますからそこまでノックをする役はドアの前に到達しなくてはなりません。
他にも複雑な心理的動き、葛藤などもスコア上に音で表わそうとしています。
それを逸脱しますと芝居としてはおかしなことになります。
音楽がそうなのだからそれに乗ってやればいいとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんがこれがとても難しいのです。
型にはめてまず動きその中で自分の個性なり表現を編み出す作業です。
歌舞伎ではまずおじさんや兄さん、先輩たちに型を学び、悩みぬいて自分の芸にする過程があるそうです。
オペラもそれに類する稽古が必要なのではないかとキャストの動きを見ながら思うようになりました。
もとより彼らは梨園の御曹司ではありませんから歌唱はともかく芝居の型を教えてくれる先輩がいるわけではありません。
繰り返し稽古して試行錯誤を繰り返しながらなんとか自分の間を見つけなければなりません。
大変な作業であります。
若いキャストの人たちはよくやっています。
この経験が将来彼らの糧になり後輩たちに教えられるまでによく考えて演じていただくことを心より願っています。
オペラバフ 制作
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