初演時に原作者シカネーダーが演じた由緒あるキャラクターです。
楽天的な野人というイメージがありますが果たしてそうでしょうか?
彼は長い間一人で生きてきました。
そういうものだと何とか折り合いをつけて現状を受け入れています。
タミーノと出会ったことが契機となり自分の住んでいる世界とは異なる世界がありそこには自分と同じような人間が住み泣き、笑い、憎み、愛しながら暮らしていることを知り自我に目覚めます。
夜の女王のきれいなお嬢さんパミーナ、ちょっとお堅いけどいい奴タミーノ、肌の色が違うモノスタトス、偉そうなザラストロと神官たち、そしてかわいいパパゲーナ。
多種多様なキャラクターに出会い彼はいろんなことを考えだしそれなりに悩みます。
もしかしたらもっと幸せでましな生活ができるかもしれない。
そう思い出すのです。
憧れ、悩み、絶望し自殺まで考えるのは彼がけして楽天的な単細胞ではないことの証です。
社会に出てあらゆる人と接して少しずつ社会性を身に着けていき優しい伴侶を得て子供を授かり平凡な幸せを得る。
いいんだ、それだけで。パパゲーノの声が聞こえてきそうです。
こう考えますとこの魔笛の世界はまさに我々の生きる現代社会の縮図であります。
タミーノの成長物語と同時にパパゲーノの成長物語ともいえるのです。
こう考えますとパミーナとパパゲーノの二重唱は将来に希望を持てたパパゲーノの歓びが聴こえてくる気がいたします。
シカネーダーはこの魔笛一つで後世まで名前が残りましたがやはり天才と言えましょう。
※パパゲーノ 高田智士
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