オペラバフのナクソス島のアリアドネがお客様と関係各位の多大なるご協力により成功裡に終演いたしました。
厚く御礼申し上げます。
いろいろ課題はございましたがお楽しみいただけたのではないかと手前味噌ですが自負しております。どう今後とも御贔屓をお願いいたします。
さて公演は終了いたしましたがまだナクソス関連で載せていない拙文がございました。
ご来場いただいた方には終演後ではございますがお読みいただきたくお願いいたします。
コメディデラルテ。直訳いたしますと古い喜劇とでもなりましょうか。
本国イタリアでももう廃れてしまった演劇の一形態であります。
コロンビーナ、アルレッキーノなどの定型化されたキャラクターが登場してお約束のドタバタ劇をほとんどアドリブで演じます。
オペラではレオンカヴァッロのパリアッチの劇中劇で演じられるものが一番分かりやすいでしょう。
洗練されたコメディデラルテとも言うべきゴルドーニの芝居はミラノのピッコロ座などで観ることができますがそう盛んで人気があるとは思えません。
現代の感覚ではあまり通用しないのかもしれません。
ナクソスではツェルビネッタとその一座がそれを演じます。
ホーフマンスタール、R・シュトラウスがこの演劇形態に親しんでいたかどうかはわかりません。
題して浮気なツェルビネッタと4人の道化たちという寸劇です。
ツェルビネッタはコロンビーナ、アルレッキーノはハレルキンです。
パリアッチでもコロンビーナがアルレッキーノと逢引きする場面がありますが、元来コロンビーナは浮気女でいろいろな男に色目を使い最終的にはアルレッキーノとしけこみます。
ナクソスのオペラになってからのR・シュトラウスのコメディデラルテの役者たちの音楽は陽気で滑稽であります。
R・シュトラウスは模倣の天才と言われています。
いわゆる○○風というものを作るのに長けておりました。
推理になりますがこのナクソスのコメディデラルテの役者たちの音楽も何かを模倣したのではないでしょうか。
ハレルキンの小唄、道化たちのアンサンブル、ツェルビネッタのアリアの一部など誰にでも口ずさめる通俗的なメロディーです。
思うにR・シュトラウスはベルリン、ミュンヘンのキャバレーでこれに類するメロディーを聴きかじっていたのではないでしょうか?
1920年代にドイツではキャバレーは全盛になります。
キャバレー文化という言葉もあるくらいです。ミュージカルもありますね。
第一次大戦中ですからドイツではまだ盛んではなかったかもしれませんが存在はしていたでしょう。
その中のレヴューでコメディデラルテを茶化したコントがあったのかもしれません。
ちょうど日本で歌舞伎を茶化したコントをイメージすればよいでしょう。
このルーツを探るテーマは論文が書けそうですね。
学者先生いかがですか?
※1944年 ウィーンでのナクソス 道化たち
クンツのハレルキン、サラバのスカラムッチョ、ラスのトルファルディン、クラインのブリゲッラ
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