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「ナクソス島のアリアドネ」あらすじ

このオペラは成立過程が特殊なため(当ブログ他記事参照の事)楽屋落ちで、劇中劇がある構造をしています。

時は19世紀末、かつてのウィーンを取り巻く市壁が取り払われ、その跡にリングシュトラーセが作られ市庁舎歌劇場等現在の姿が作られつつあったウィーンが舞台です。(初演時はロココ時代、「フィガロの結婚」の時代設定になっていました)

☆ 序幕 ☆
今日はこの伯爵家の館で晩餐会が催され、その余興として新作のオペラセリア、コメディデラルテ一行の軽い歌芝居、その後に庭で花火が上がる予定です。その上演を担う音楽教師に率いられたオペラの一行と「ツェルビネッタと愉快な仲間たち」の一行が出番を待って、半地下の部屋で待機しています。若き作曲家は自分の書いたオペラが初めて上演されとあって、そわそわしています。プリマドンナやテノールに最後の注意を言いたいのに、相手にしてもらえません。それでも次から次に頭に楽想が浮かびます。ヴァイオリンの稽古をしたいから呼んで欲しいと頼んだこの館の召使にはさんざん馬鹿にされてしまいますが、若い男子として、この部屋に一緒にいるコメディデラルテ一行の若き座長のツェルビネッタには興味を惹かれます。

そこへ執事長が現れ、主人はこのオペラには不満です、堅苦しいオペラセリアの間に陽気なコメディデラルテの歌芝居を入れ込めと無理難題を言い渡します。たくさんの報酬を差し上げているのですから、主人の要望に応えて下さい、そして9時には花火が上がるので、時間の延長は認めませんと、音楽教師に言い、ダンス教師にも協力するようにと言います。ダンス教師は、「それは良いアイディアです。長いオペラセリアを見せられたら、食事の後の観客は眠ってしまいますよ。ツェルビネッタはうまくこのオペラに入り込めますよ。その方がずっと面白いですよ」と執事長に言います。オペラセリアの出演者のテノールとソプラノは自分のアリアを削らないで、と作曲家と音楽教師に頼み込みます。ツェルビネッタは仲間に「ナクソス島のアリアドネ」の筋を説明します。

そして仲間が準備の為に楽屋に下がった後、「もう死んでしまいたい」と言う作曲家に「死ぬ代わりに、あなたはもっと経験を積むべきだわ。私は舞台の上ではコケットを演じるけれど、本当は違うのよ。本当は悲しくて、寂しいの」と言います。そんなツェルビネッタに作曲家は初めて魅力的な異性として意識します。しかしツェルビネッタは「この瞬間をあなたはすぐ忘れてしまう。私が間違いだったわ。」と言って楽屋に駆け込みます。しかし作曲家は「この瞬間を永遠に忘れない」と思います。

音楽教師が「さあ公演の準備をして下さい」と皆に声を掛けます。プリマドンナが再び楽屋から現れ、「コメディデラルテの一行と一緒の舞台に立つなんて私のプライドが許さない」と訴えて、音楽教師になだめられて楽屋に去ります。作曲家も思い直して音楽教師に「仲直りをしましょう。やはり音楽は偉大なものです」と言っていると、公演の出演者が衣裳をつけて出てきます。コメディデラルテの一行の姿を見て、こんなのは自分の作曲したオペラセリアではないと絶望して部屋からかけ去ります。

☆ オペラ ☆
ここはエーゲ海中部のキクラデス諸島最大のナクソス島です。オペラが始まる前の話です。クレタ島の迷宮にいるミノタウルスは恐ろしい怪物で島の人は定期的に若者を生贄として捧げていました。
テセウスはその退治に出かけようとします。すると島の王女であるアリアドネはこの若者に恋をしてしまい、糸を渡し、「これを怪物の住む迷宮の入口に結びつけておけば無事帰って来られる」と教えます(これがアリアドネの糸として知られる伝説です)。

無事怪物を退治したテセウスは助けてくれたアリアドネを伴って船でアテナイに戻ろうとします。しかしアリアドネは途中のナクソス島に置き去られます。ここでオペラの幕は上がります。

置き去られたアリアドネは海岸近くの洞窟の前の岩でまどろんでいます。三人のニンフ達が現れ、「アリアドネは永久に癒されることのない悲しみの中にいる、でも私達はもうそれに慣れてしまっている」と言います。アリアドネはニンフたちには気づかず、「今の私はもう生きているのかどうかも分からない。何故私の心臓は止まらないのだろう」とつぶやきます。そこにツェルビネッタ達が現れ、「慰めるのは難しい」と言って消えます。

アリアドネはテセウスとの楽しかった頃を思い、「昔の私に戻らなければいけないのに、私はここに横たわって死を考えている」とつぶやきます。

そこへ又ツェルビネッタ達が現れ、「私達は彼女を助けましょう。ハレルキン、歌でも歌ってあげて」と言います。しかし反応が無いので、ハレルキンとツェルビネッタ(コメディデラルテではコロンビーナ)は言い合いをしながら袖に去ります。

アリアドネは一人思いにふけっています。「私はこの島にとどまり、心は悲しみに包まれていますが、心はあなたに囚われ、あなたが私の命を奪ってくれたら、永遠にあなたの物となるでしょう」

そこにコメディデラルテの一行が現れ、「あなたを陽気にするために来ました。踊りや歌が太陽や風になってあなたの目から涙を乾かします」と陽気に騒ぎますがアリアドネは反応しません。ツェルビネッタは「私達の歌や踊りは彼女にとっては煩わしいだけだわ。さあ皆消えて」と4人を追い払います。

そして一人残ってアリアドネに切々と訴えます。「あなたはここに一人で過ごして誰の言葉にも耳を貸さないが、誰か心を打ち明ける人が欲しいと思わないのですか。私達はあなたとテセウスのいきさつを知っています。この状況で悩まない女はいません。捨てられ、絶望し、置き去りにされる、こんな事をされた女はそれこそ無数にあるのです。私もこんな状況になった事は何回もあります。ちょっとした事で男たちは心を変えてしまうもの。でも女は不死身なの。そんな状況の心の中に、今まで知らなかった自由が混じって来るのに気が付く事があるのではないの?半分自覚しないで、今までの彼を心の中で裏切ってしまうことがあるのではないの?私もそうでした。でもそれは一時の気まぐれでは無く、そうしなければならないからでは無いの?まるで一人の神のようにどの男もやって来ます。彼が接吻すれば私は神に囚われ全く変わってしまうでしょう」と大アリアを歌います。

そこにハレルキンが現れ「全然アリアドネは聞いてくれてない」と歌いツェルビネッタは「女がどうしても他の男たちを拒絶すべきと神様がお考えになるのなら、どうして色々な男たちをお創りになったの」と歌いながら4人と戯れ始めます。

そこにバッカスのテーマが流れ、彼が島に着いたことを暗示します。

ニンフ達は彼が到着したのに気づき、彼の生い立ちとここに現れるまでの状況を説明します。そしてアリアドネに新しい男性が現れたことを呼びかけます。アリアドネは彼の声に気づき、彼の姿を見てテセウスが迎えに来たのかと勘違いしますが、彼の姿を見て別人であると気が付きます。しかし彼の姿とやさしさに、又彼の心の傷に気づき彼と共に歩むことを決心します。

そこにツェルビネッタが現れ「新しい神がやって来た。私達は何もいう事はないわね」と観客に言い、二人は愛の歌を歌い幕となる。

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