衣裳

「魔笛」の衣裳の話(2)

モーツァルトが生涯の最後に作曲した「魔笛」はそれ以来ずっとオペラハウスの人気演目で、特に欧米では年末に家族連れで行けるオペラとしてよく上演されます。動物が出てきたり、パパゲーノやパパゲーナが可愛かったり、雷鳴が轟き渡ったりと、お子さんが見ても退屈しないし、大人も感情移入できる登場人物がいます。衣裳もメルヘンチックなコンセプトで作られることが多いです。見て、聞いて楽しいオペラです。

タミーノはリブレットには豪華な狩衣を来た日本の王子という事になっています。今回はそのタミーノを、日本の幕末、幕府の旗本の若様が戊辰戦争に参加し、その最中に大砲の爆発に巻き込まれて、異世界に転生する、というコンセプトで演出上演します。
では、各登場人物の年齢と性格、その属性はどうでしょうか?

タミーノこと田宮太郎信成は19歳か20歳の若者で、彰義隊に参加し、戊辰戦争にも赴くぐらい直情で、真面目、一旦決めたことは何があっても守る性格の若者です。とすると服装も戦闘での乱れはあるとしてもきちっとしています。その頃はもう鉄砲の時代になっていたので、武士のたしなみとして脇差はしていたかもしれませんが、武器は小銃で、斜めに背中に背負ってます。

パパゲーノは、羽をたくさんつけた鳥人間の姿が初演の頃の銅版画に残っていて、それが約200年間踏襲されてきています。他の役の衣裳は結構いろいろなバリエーションがあるのに、この役だけはずっと変わらずにいます。この姿は代々の観客の無意識の領域に深く刷り込まれてしまっているのではないかと思わざるを得ません。という事で、今回の公演でも、このイメージ以外のデザインをすることはなかなか難しいです。年齢不詳ですが、成人という事はなく、やはり若者でしょう。典型的な「聖なる愚か者」の一人で、小鳥と話せるジークフリートの仲間です。そこからヘルデン要素を抜いた(なんて言ってもバリトンの役ですから)、ちょっと気弱な性格です。でもオペラブッファの役でもありません。

もう一人の若者と言えばパミーナです。母親から引き離されても、小舟を奪って逃げようとするぐらい、しっかりした娘です。でも結局はモノスタトスに捕まってしまうのですが。年は多分「ロミオとジュリエット」のジュリエット位で、16歳前後でしょうか。何しろ、ある若者が自分の絵姿を見て好きになってしまった、というのをすぐに信じるくらいですから、恋を夢見るお年頃です。ただジュリエットと違って、タミーノと真っすぐ試練に向かっていく勇気も、タミーノを信じる心もあります。そこで衣裳はジュリエットや、「ピーターパン」のウエンディや、アリスのようにベビーブルーに白のエンパイアスタイルとなります。あるいは処女マリアのイメージも少しあるのでしょうか。
夜の女王はパミーナのお母さんですから30台後半から40代前半、その女官達であるダーメ三人は20台後半から40代後半まで、ザラストロは夜の女王のご主人の友達なので、40代から50代でしょうか。

モノスタトスは良く40代のちょっといやらしい中年おじさんとして上演されることが多いのですが、今回はちょっと変えています。

この夜の女王とザラストロの宮殿の話は次回という事で。

 

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